和歌山県数学教育協議会
第40回研究集会

2022年8月27日(土)
 於 : 和歌山信愛大学&Web
 

和歌山信愛大学を会場にして、オンライン併用で開催しました。開場参加9名、オンライン参加10名、合計19名の参加者がありました。



【記念講演】「残る力、残らない力、残したい力〜『特別支援の算数・数学の目的は何だろう?』〜」 拝郷 万里さん(奈良))

 
拝郷さんが、娘さんと家庭で8年間取り組んできた特別支援の算数教育の実践の中から「残る力」「残らない力」「残したい力」について、具体例を挙げながらお話していただきました。
 「残る力」として、「位取りの部屋」を使った実践が話されました。キューブを使い「10集まったら、隣の部屋にお引っ越し」の練習を繰り返すことで、10進数の概念ができ、お金の計算にも活かされたということでした。
 「残らない力」としては、たし算とひき算のただ繰り返すだけの演算練習を挙げられました。キューブを使って操作させるたし算・ひき算の練習は操作としてできても、どういうときにたし算が使えるか?という演算の意味がわかっていないので、全く何も残らなかった。また、てんびんを使って方程式を解くことは、そのときはできるようになったと思ったが、1か月後には全く残っていなかった。意味もわからないまま、操作だけやらせたからと反省をされていました。
 「残したい力」としては、生涯にわたって生きる力につながるとして、「わからないことを整理し、人に聞ける力」を挙げられました。全ての情報がそろっている課題ではなく、敢えて情報が欠落している課題を提示し、本人が足りない情報に気づき、質問してその情報を得て、問題を解決する実践が報告されました。
 最後に、特別支援の算数・数学教育の目的は「自分で考える力を育てる。学ぶ喜び、考える楽しさ・素晴らしさを体験する。知的障害児であっても、可能な範囲で論理的な思考の獲得を育む」ことではないかと思っていると話されました。








【レポート発表】

「デジタル版かけわり紙芝居」原 啓司(御坊市立藤田小学校)
 
文章題を読んで、その問題が「かけ算」か「わり算」かのどちらであるかを見つける方法として、「かけわり図」をイメージさせることが大切だと話され、「かけわり紙芝居」を使って「かけわり図」を定着させる実践が報告されました。最初、「動物の足」と「鳴き声」から動物を当てるという問題から入り、「1あたり量」と「いくつ分」から「全体量」を求めるという「かけ算」の問題で「かけわり図」導入します。次に「全体量」と「いくつ分」がわかっているとき「1あたり量」を求める「わり算」の問題、そして最後に、「全体量」と「1あたり量」がわかっているとき「いくつ分」求める「わり算」の問題へと紙芝居は進んでいきました。
 「かけわり紙芝居」をつくるのが大変だという人のために、PDF版「かけわり紙芝居」をつくって公開してくれています。




「ピックの定理」阪田 祐二(和歌山県立貴志川高校)
 格子多角形の面積を、図形の内部の格子点と境界線上の格子点の個数を数えて求められる「ピックの定理」が紹介されました。具体的な例で、ピックの定理の使い方の説明があり、ピックの定理の証明もしていただきました。格子点で計算できる量をピックの量として、「ピックの量の加法性」と「縦横が軸に平行な格子長方形のピックの量が面積を表している」ことを示し、この2つから、一般の格子多角形のピックの量が面積を表していることを、順を追って分かりやすく説明していただきました。




【教具紹介】

 教具紹介では、仰角をす測定する「カクシリ器」、「分数マージャンゲーム」、「2次関数の平行移動の教具」等が紹介されました。


                               



                            →トップページに戻る
inserted by FC2 system